[Champagne]

 なんとかここまで堪えていたくもり空が、ついにライブを聴きたがっていた雨雲にとって代わられてしまった。[Champagne]の登場を知らせるYUYAのアナウンスを前に、空からは雨粒が落ちて来ていた。野外フェスに慣れた観客はみんなレインコートを着て、ステージ前へと押し寄せている。そんな悪条件でも構わない。彼らの歌を聴けるなら。Sky Jamboree初登場となるロックバンド[Champagne]は、そんな雨にも負けないオーディエンスの大歓声を受けながら姿を現した。
1曲目は『Weitress,Weitress!』。雨音を突き破る川上のボーカルと、エッジの効いたギターのリフ、そして観客の全身に打ちつけるビートが鳴り響き、どんどん強くなる雨足に「負けるものか」と騒ぎに騒ぐモッシュエリアの観客の熱と重なり、山肌を駆け昇っていくように感じる。続いて切なげなギターによるイントロが鳴り響き、待ってましたとばかりの大歓声が沸く。『city』だ。日常の焦燥感やふとした時に感じる戸惑い。交差していく感情が音に乗せられていくストレートでシンプルながら非常にエモーショナルな1曲に、まるで雨を押し返すように力強く拳をあげるオーディエンス。サビでハイトーンな歌声で駆けるメロディに胸が熱くなる。パフォーマンスに応えるようにヒートアップする観客の姿にバンドの放つ音も歌声もパワー感を増していく。いつしか稲佐山は霧という天然のスモークに包まれていたけれど、その向こうに浮かぶ[Champagne]のシルエットは大きな存在感を放っていた。3曲目は新曲『Stimulator』が披露された。掻き鳴らされる音が、歌声も含めたその全てでひとつの塊となった印象を覚える1曲だ。鋭い音層で疾走するアッパーチューンに、揺れるオーディエンスの姿も音と共にひとつの塊になっていくような気がした。隙間の全てを埋めてしまうほどに音の波状が押し寄せるライブユースなナンバーで会場の熱は上昇を続けて行く。
「[Champagne]と申します。Sky Jamboree初出演させて頂きます。やっと出られます。嬉しいです…と思ったら、髭(HiGE)が終わった途端にこの雨です。でも嬉しいです。雨はアガるからね。今日は本当に忘れられない日になりそうです。思い出はいつの日も雨ですから」
激しさを増す雨の中、その雨を吹き飛ばすほどのエモーショナルな『Kick&Spin』が鳴り響く。打ちつける雨音なのか。叩きつけるドラムの音なのか。掻き鳴らされるギターのリフなのか。重厚に届くベースの音色なのか。わからなくなるほど雨の音が混ざった『Kick&Spin』を野外で楽しめるなんてそうそうないこと!大人も子供もレインコート姿でステップを踏み、雨の今だからこそのライブ感を堪能していた。ラストは『Starrrrrr』。キラキラと発色するようなギターの音とハイトーンのボーカルが響き、雨の中にあっても胸を打ち心を熱くする音楽によって輝くSky Jamboreeを照らしたのだった。

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