the day

 その登場の前から、ステージの裏は騒然としていた。the dayがやってきたのだから。ギターに仲井戸麗市、ドラムの中村達也、キーボードにはYUKIやゆずの楽曲のプロデュースでも知られる蔦谷好位置、そしてベースには言わずと知れたRIZEのKenKen、さらにSAXとして俳優でありミュージシャンでもある武田真治という5人によるスペシャルバンドだ。様々なフェスに姿を現しては話題をさらい、そのグルーヴで会場を圧倒してきた彼らがSky Jamboreeに登場。この雨の稲佐山で、彼らはどんなライブ・パフォーマンスをしてくれるのだろうか。
 YUYAの呼びこみに呼応するようにオーディエンスが歓声をあげる。雨は相変わらずざぁざぁと降っていたけれど、それでも彼らを待ち望む声を打ち消すことはできない。ステージ前に押し寄せたのは踊りたい者はもちろん、その妙技に触れたい音楽好きも多かったように感じる。みんな、目をキラキラさせてステージを見つめていたのが印象的だった。まずは『opening tune』からライブはスタート。1つ、また1つと音が重なっていき、the dayという音を生みだすこの曲。雨音は、ステージから放たれる軽妙かつグルーヴィーな音を吸収し、先ほどまでの打ちつける非情な表情を隠し、どこか楽しく躍っているような音へと変わっていく。音で会話をするように、鳴らす響きで声をあげて笑っているかのように。音でコミュニケーションするthe dayのメンバーたちと共に1万人の観客もまた、音に合わせて体を揺らすことでそのコミュニケーションに参加しているかのよう。2曲目はKenKen をフィーチャーしての『KenKen’s tune』。肌で感じる音。感覚で味わう音。その呼吸感が楽曲となり、セッションによって鼓動を重ねていく様は圧巻。ステージの脇にはこの日の出演ミュージシャンも集結し、彼らの音を楽しんでいる。実はあまり前後に立ち位置を振ることなく、ずらりと横並びになっていた5人は、視線を合わせるのも時折。あとはお互いの音の呼吸がわかっているんだな、と感じさせる見事なセッションだった。仲井戸が演奏する背中でグルーヴを伝えながらそこへ向けて全員が音を鳴らす『Rain-fall-down』、その仲井戸の歌声に稲佐山が揺れた『マテリアル』、さらに軽やかに別れを告げるように、全員の音がそれぞれの色と共に放たれる『the day[Closing-tune]』。ブルージーなナンバーからソウル、ファンク、そしてロックンロール。メンバーそれぞれのベースにある音楽によって紡がれた全5曲で一気に駆け抜けていった奇跡のセッションは、稲佐山の幸福な音楽で彩られた白昼夢のような時間をプレゼントしてくれたのだった。

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