TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA

 ステージ裏にスーツの一団が集結する。匂い立つほどの大人の魅力を放ちながら、笑顔で談笑していた彼らはTOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA。日本が世界に誇るSKAの真骨頂が、稲佐山を震わせるその瞬間を待ち望む歓声が裏まで届き、いよいよ彼らの出番。SEで早くも拍手喝采で沸いていた会場に姿を現してスカパラの面々。雨があがり、長崎の宵闇が浸食し始めたこの場所に鳴り響いたのは『Mission Impossible』。言わずと知れた「スパイ大作戦」のテーマソングだ。カラフルで重厚な音の雨に大きく手をあげて歓喜の声をあげるオーディエンスにステージのテンションもいきなりマックスへ。共に声をあげ、登場するなりひとつになった稲佐山。続いて『非常線突破』へ。スカパラのメンバーそれぞれの音を堪能できる1曲は音の波で会場をいっぱいにしていく。3曲目はスカパラの代名詞とも言える『DOWN BEAT STOMP』が響けば、まだ後方で見ていた観客もじっとしていられない。続々ステージ前へと押し寄せる。手を軽快にあげながらビートに乗り、ステップを踏み、歌声を重ねていく。まるで田んぼのようになったモッシュエリアはご機嫌のオーディエンスたちが泥を跳ねながらも踊りまくる。踊ったもの勝ちとでも言っているかのようなその姿はどんどん伝染していき、山の上の方で見ている人たちもクラップをし、ステップを踏み、楽しんでいた。『SKA ME CRAZY』が鳴りだせば泥なんてもうないも同然なのか、モッシュエリアは次々に観客がダイブ。スカに熱狂させられる。メッセージ通りの様相に、ステージのメンバーたちも大きく体を揺らして応えていく。さらに『ルパン三世’78』ではモッシュサークルも出来、モッシュエリアは満員御礼の盛り上がりになっていく。稲佐山の自慢は夜景だけではない。夏の祭典で集う、熱いオーディエンスも自慢だ!と言わんばかりにテンションをヒートアップしていく。その熱をさらに上昇させたのが続いた『One Step Beyond』だ。ライブマストチューン。そして世界中で愛されるほどの名曲に、モッシュにダイブ、ステップに大歓声に大合唱!フェスの醍醐味と醍醐味が全部詰まったモッシュエリア。泥も再び振り出した雨も、ライブの特殊効果のように楽しむためのエッセンスとなってオーディエンスの熱に拍車をかける。そして次の『Pride of Lions』では盟友・KEMURIの伊藤ふみお氏がゲスト・ボーカルに。楽しげに跳ねるボーカルが伸びやかに広がっていくナンバーは人気の曲でもあり、会場は大合唱に包まれ、オーディエンスはみんな笑顔に。「オレ、一生忘れない!この笑顔!!」。感極まったように叫ぶ谷中が「全員で肩を組めー!」と続け、オーディエンスは仲間も知らない者同士もみなで肩を組んだところで『All Good Ska is One』。観客が肩を組んで満面の笑みをステージに向けているのが見える。その様子に満足そうに頷くスカパラのメンバーたち。何度も「最高!」と叫んでいた谷中の声に応えるように、どしゃぶりの雨をものともしない、音楽を愛する1万人もの人々。そんな稲佐山にこの瞬間息づく全てをひとつにしたスカパラのライブだった。

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