ONE OK ROCK

 バンドが登場するSEからモッシュエリアは騒然。次々にシートエリアのある斜面を駆け降りてくるレインコート姿のオーディエンス。急げ、急げ。飛びはねながら登場したONE OK ROCKのメンバーのテンションもはじまりからクライマックス!そして『Deeper Deeper』が鳴り響く。轟くギターの音色と重厚なビートが稲佐山を席巻する。頭を振り、拳をあげてステージ前で跳ねるオーディエンスの熱はステージへと投げつけられ、それを受けたONE OK ROCKのメンバーたちはさらにその熱をより大きな音の塊にして投げ返す。楽曲を通して熱と熱との交歓が行われているのだ、と感じるほど、ステージもモッシュエリアも暴れまくっていた。
 「長崎Sky Jamboree!雨だけど、調子はどうだーー!!」とTakaが叫び、『Nothing Helps』のイントロが流れると、会場からは地面を揺るがすような歓声が轟き、「オイ!オイ!」の声が上がる。アタックの強いビートが打ち込まれると、モッシュエリアは雨に打たれながらあちこちでモッシュが始まり、体を当てながらも踊る観客の中からは耐え切れずにダイブする者も出るほどの盛り上がり。山肌に目をやれば、モッシュエリアだけではなく、シートエリアも総立ちの観客の姿。誰もがステージから放たれる音という雨に全身を打たれていた。唸りをあげるギターにTakaのシャウト、そして呼応するのはステージに向けられた無数の拳。1万人の想いが乗る、拳だ。そんな熱いナンバーに続いたのは『Clock Strikes』。アグレッシヴに疾走する楽曲とは違う、ミディアムロックだけれど、大きな存在感のあるこの曲で気持ちをひとつにするように手があがる。1万人が大合唱するその声は雨音をかき消し、稲佐山を包んでいった。ここからONE OK ROCKのライブは後半戦へ突入。人気曲であり、ライブのマストチューンでもある『Re:make』のイントロが響きだせば、大歓声が沸き、最初の一節から一気に会場をONE OK ROCKのロックンロールへと引き込むパワーチューン。泥だらけになったモッシュエリアでは泥が跳ねるのも気にせず、誰もが全力で飛び跳ねている。雨の悪条件だってフェスを熱くするエッセンスだ、とばかりに楽しむオーディエンスの姿にSky Jamboreeを愛する観客の想いを見た気がした。そして『完全感覚Dreamer』では限界を超えていくように、思いっきり歌い、踊り、楽曲を全身で楽しむオーディエンスの姿が。ステージにいるメンバーの目に飛び込むその景色はどれほどのパワーになったのだろうか。ボーカルにも、ギターの音にも、ベースのグルーヴにも、ドラムのパワーにも、さらに力が増したように感じた。
 「久々に長崎のみんなに触れあえて嬉しいよ」とSky Jamboreeに出演することへの喜びを伝えたTaka。そしてラストの『The Beginning』ではステージからバンドが放つ音に加え、1万人のクラップの音も力強く響きだす。エモーショナルなロックを観客が共に声をあげる。稲佐山が激震する。彼らのライブはそんな時間となったのだった。
photograph by 橋本 塁

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