10-FEET

 10-FEETがSky Jamboreeに初めて出演したのは2001年。その後、2004年から2016年まで、2009年を除き、毎年出演してきた。今や、スカジャンと言えば10-FEETというくらいの代名詞的存在となり、今年は通算14回目。もちろん、最多出演である。

 壮大な冒険へのファンファーレが流れる中、両手でタオルを頭上に掲げたオーディエンスが彼らの登場を待ち構えている。ライブエリアに詰めかける数、その前方へ押し寄せる数、共にマックス超え。そして、眩い橙色の光が射しこむステージに上がったメンバーを熱気のこもった大歓声で迎える。
「今日はありがとうございました!じゃあ最後の曲やります!」−−TAKUMA(Vo./Gt.)のそんな言葉と共に繰り出されたのは『VIBES BY VIBES』、ド頭からのホットなヴァイブスに会場全体が沸き返った。前のめりなビートに煽られ、オーディエンスは皆、本当に、真剣に、ラストチューンのように爆発的な盛り上がりを見せてくれる。「ありがとうございました、10-FEETでした!アンコール始めます!」という鉄板の流れから2曲目、もといアンコール1曲目『goes on』が始まると、今度は「今日ぐらい我慢すんなよ!跳べ!飛べ!」というシャウトに煽られ、ダイブとモッシュの大狂躁が繰り広げられる。この調子でダブルアンコール、トリプルアンコールと続いていく彼らのやり口は、オーディエンスも慣れたものではあるのだが、そこに惰性的な馴れはない。逆に、《全曲クライマックス!》という最高にエキサイティングな企みを、バンドは200%楽しませようとしているし、オーディエンスは皆、めいっぱい楽しもうとしている。その相互作用によって生まれ得る圧倒的なエネルギーと解放感が、観る者を瞬く間に剥き出しのパンクスに還すのだ。
 MCではコントのようなやり取りで笑いをかっさらうシーンを挟んで、彼らを喰い入るように見つめているオーディエンスひとりひとりに対しTAKUMAが言葉でも思いをぶつける。
「普段、人見知りなヤツが、今日ぐらいはテンション高めで暴れられたら、毎日我慢してるヤツが、今日ぐらいは前の人押しのけて楽しんでくれたら、いいなって思うんです」
 そして「みっともねえとこ見せてくれよ!!」−−そう叫んでかき鳴らしたギターのイントロだけで地鳴りのような歓声が上がった『その向こうへ』へ。言葉以上にリアルなメッセージとパッションを身体中から発しながら、TAKUMAが全身を振り絞るように歌う。重装甲車で疾走したかと思えば抜けるような躍動感で独特のグルーヴの軸となるKOUICHI(Dr./Cho.)と、音もプレイスタイルも激しく動き、時にジャンピングハイキックまでキメるNAOKI(Ba./Vo.)との勇猛なリズムが、その歌を支え、鼓舞する。会場の最後方まで轟かす勢いでアグレッシブにビートを刻み続ける3人は、生きづらさを抱えても只管に日々を生きる目の前のひとりひとりに向かい全精力を傾けていた。もちろん、それに応えるオーディエンスも同じ。メンバーの声を掻き消すぐらいの"その向こうへ"の雄叫びにも似た大合唱は、今日のハイライトのひとつだ。
 「人見知りなヤツっていうのは本当は、よく喋るヤツより頭の中ではたくさん考えてるし喋ってる。そういう根暗な曲を演ります」と奏でられたのは、最新シングルとしてリリースされたばかりの『太陽4号』。身体の根幹を震わすほど力強く大きく鳴らされるアンサンブルに際立つ歌を語りかけるように届けたあとは、遂に(本当に)最後の曲。ラストはバンドのパッションを注ぎ込んだ『RIVER』を、オーディエンスの拳とシンガロングと共に!
「みんな、なかよくね!最後まで。隣の人とハイタッチだ!!!」
 激しく、熱く、弾けて楽しく。個々人のアイデンティティーそのものを寛容し解放した彼らのステージはやはり今年も、"LOVE&PEACE&10-FEET"だった。


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10-FEET
Set List

M1. VIBES BY VIBES
M2. goes on
M3. ヒトリセカイ
M4. その向こうへ
M5. 太陽4号
M6. RIVER

photograph by Yuki KATSUMURA

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