Crossfaith

 スタート前、ちょっと気圧されるほどの緊張感があった。会場は確かに興奮と熱狂の渦中にあるのだが、このバンドの登場が近づくに連れ熱気の中にピンッと1本、ピアノ線が張られていくようだ。SEとしてスペースシャトルの打ち上げ音から彼らの『System X』がシンフォニックに響く中、メンバーがひとりひとり姿を現し最後にKoie(Vo.)がバンドのフラッグを掲げ登場。その瞬間、張り詰めた緊張が一気に大歓声へと変わった。国内はもとより屈強な海外のハード/メタルコア〜ラウドロックシーンの最前線で戦い続けるバンド・Crossfaith、満を持してのスカイジャンボリー初参戦の瞬間である。

 オープニングから脳裏に焼き付いて離れないような鮮烈な光景が繰り広げられた。まず『Monolith』では観る者の耳も目も惹きつけずにはおかないヘヴィネスで圧倒、オーディエンスとのヘッドバンギングの応酬が始まり、開始5分を待たずしてライブエリアの中央には巨大なサークルが発生している。続く『Jägerbomb』でも冒頭からツインペダルを擁するTatsuyaの凄まじいドラミングが炸裂し、他メンバーも各々プレイ、パフォーマンス共に尋常でないアグレッシヴさと卓越したテクニックとで圧倒しっぱなし。のっけからのアンセム2連発に呼応する長崎ロックキッズを、バンドはさらに挑発的に煽る。Koieが「スカジャン始まって以来の一番デカいサークル作るぜ!」と扇動するや否や、先ほどよりももっと大きなサークルが出現!それはまるで、彼らの音、リズムに表出している衝動や美学に本能的に衝き動かされ身体の内側から爆発させる狂躁の具現化だった。

 MCでは「はじめまして、Crossfaithです。念願のスカジャン、超デカいな!スカイジャンボリー!!」と初出演の喜びをKoieがまず伝える。続けて「フェスっていうのはバンドが作ってるわけじゃないねん。364日、この日のために準備してくれてるたくさんのスタッフがおって、今日オレらはこのステージに立ててる」とフェスを支える大勢のスタッフを労うと、最後はオーディエンスへ向けてこう叫んだ。

「そしてオマエらは、このスカジャンの一番最後の大事なピース!つまりオレが言いたいのは…もっと盛り上がれよ!!!」

 そのまま突入したのは『Wildfire』、激しく展開するエネルギッシュかつエキサイティングなビートに、会場は止まるところを知らないほどヒートアップ。タオルを回して踊る踊る、跳ねる。サビではKoieがステージ最前線からダンスフロアと化したライブエリアへ飛び込み、まさに瞬く間に広がる炎のような盛り上がりぶり。さらに「オマエらだけの未来を選択してその手に掴み取れ!!」と『Freedom』を畳み掛け、昂揚から恍惚へとオーディエンスを導いてのラストは『Countdown To Hell』。モーゼが割った海の如くライブエリアが真っ二つに割れて激突する、所謂“ウォール・オブ・デス”を2度起こす壮絶さ、破壊的であると同時に構築的でもあるアンサンブルの凄烈な美しさは、流石のライブモンスターと言うしかない。曲の終盤では、隙間なく突き上げられたオーディエンスの腕の波間にTeruも飛び込み、絶頂を共に分かち合い、大団円へ。全5曲ながら十二分以上にその胆力を見せつけた驚異的な30分であった。

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Crossfaith
Set List

M1. Monolith
M2. Jägerbomb
M3. Wildfire
M4. Freedom
M5. Countdown To Hell

photograph by Yuki KATSUMURA

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