the HIATUS

今年のタイムテーブルにおいて真っ先に決定したポジション、それはヘッドライナーにバトンを繋ぐ10組目。かつてストレイテナーに日向秀和が加入する際、誰よりも喜んだという人物。細美武士。今回で7度目のSky Jamboree出演となる彼が、the HIATUSとして久々に稲佐山へ!

照明がようやく本来の役割を果たすようになってきた午後6時45分。本番を前にメンバー5人がサウンドチェックに現れ、公開リハーサルとして『Silver Birch』を1曲丸ごと演奏!いうまでもなく大盛り上がり!

一度ステージ脇に戻って円陣を組み、DJ YUYAの紹介により再びステージへ。暖かい歓声に迎え入れられながら各自スタンバイ。一滴の雫が水面に波紋を広げていくように、細美のギターがフェードインしたところから全パートがざわわと音を立てはじめ、柏倉隆史の力強いカウントから『The Flare』で一瞬にして轟音の世界へ。
曲の起伏とともに表情も歪ませながらドラムを叩く柏倉。ダウンピッキングでクールに低音を刻むウエノコウジ。打楽器のように激しいタッチで 盤を打つ伊澤一葉。大ぶりのストロークで6本の弦を震わせるmasasucks。曲中「長崎ー!」と声を上げるなど、興奮や喜びが溢れ出している細美の歌声。オーディエンスも一緒に歌って積極的にライブに参加!

一切の間を空けずmasasucksのアルペジオとスネアのリムショットが絡み合い『Storm Racers』に突入。イントロからハンドクラップと歓声が沸き起こる場内、その盛り上がりに細美が優しく微笑みながら熱唱。サビのパートではダイバー続出でライブハウスの様相に。(※ダイブは危険行為のため禁止しています。)

2曲を終えた直後、喜びいっぱいの声と表情で「こんばんはー!the HIATUSでーす!稲佐山ー!!」と挨拶。荒い息を整えようと大きくしている細美に、客席から"おかえりー!"との掛け声が次々と。そして満面の笑みを浮かべながら「スカジャンに出られるだけで、めちゃくちゃ幸せです。今日はありがとう。いろんな出会いがこのフェスではあって。んー、まぁいろんなエピソードがあるけれども、その俺の長崎の思い出のなかでも今日はとんでもなく特別な一日になりそうな気がしていて。盟友ストレイテナーが、長崎出身のテナーがこのフェスのトリをやる。こんなに嬉しいことはない!ホリエくんやテナーのみんなとかもそうだけど、この人生でみんなと出会えたことを本当に嬉しく思う。今日は最後までひとつよろしくお願いします。」
このMCとオーディエンスの盛大な拍手に、ステージ袖のホリエ氏が涙腺崩壊。

ギターを置いてハンドマイクに持ち替えたところでライブ再開、サスティンの効いたギターフレーズが印象的な『Thirst』へ。序盤はシンプルなバンドアンサンブル、そこに細美が操るDJが加わり雪だるま式に音像が増幅。稲佐山全体がその壮大な音の渦に飲み込まれ、まるで異空間にいるような感覚に。
同じアルバムからもう1曲目『Unhurt』をチョイス。両手で握りしめたマイクに想いをすべて託すように、力の限り歌を歌う細美。楽曲を視覚面でサポートする幻想的な照明も秀逸。ステージから放射される音と光に包まれる、筆舌に尽くしがたい多幸感たるや!

Unhurtの余韻を残しつつ、ピアノの音色で次の曲へと誘う伊澤。(その間ベースを抱きかかえて待つウエノの立ち姿が実に格好いい!)ピアノの柔らかな調べを聞きながら「夏の夕暮れ大好きだ、マジで。ありがとう今日は!最高!最高の一日になった。」と屈託のない笑顔を浮かべて、優しく歌い出した『Lone Train Running』。するとメインボーカルを凌ぐほどの声量でオーディエンスの大合唱が始まり、これには細美も身体をのけぞって大喜び!masasucksもステージ最前で笑顔のギターソロ。照明に照らされるファンの表情も喜色満面!

この楽しい時間がいつまでも続けば…と願ったのは筆者だけではないはず。しかし、残り2曲と細美からのアナウンスが。そして「あと2曲。ストレイテナーにバトンが渡せるように、気持ちも声も、明日はもう出なくなってもいいから、思いっきり歌っていくわ。今日はありがとうございました。the HIATUSでした。」と想いを告げて、いよいよラストスパート。

最初のドラムフレーズの瞬間から歓声が起きた『Insomnia』では、本当に声が潰れそうなほどに激しく"Save me"を連呼。ファンも一切の出し惜しみをしないように、力一杯拳を握りしめシンガロング!

最後の1曲は細美の4カウントから『紺碧の夜に』。最もオーソドックスなバンドサウンドゆえに、ストレートに胸に響く。歌う人、泣く人、ダイブする人、Oi Oiコールする人など、思い思いにthe HIATUSを受け止めるオーディエンス。そんな彼らに何度も何度も「ありがとう!」を繰り返し、誠心誠意の歌を届ける細美。演奏が終わってからも、最後の力を振り絞るように「ありがとうございましたー!!!」と叫び、4年ぶりのステージが終了。

バンド、オーディエンス、共演者、スタッフ。全員の心が通い合った、何もかもが輝いている希有な時間だったと言っても過言ではありません。
ライブ直後、FM Nagasakiのコメント収録で以下のように想いを語った細美。「ずーっと、まだ俺たちがおじさんになる前からいろんなところで一緒に演奏して来たストレイテナーがトリを飾るということで。しかもその直前にプレイさせてもらえるということで。すごく気持ちがたかぶっていた。すごく気持ちよかった。友達のためにできることがあったらいいなって思ってやれたライブだったので、とても幸せでした。」

そしてついに。戦後70年のSky Jamboreeを締めくくるヘッドライナー:ストレイテナーの時間を迎える!

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