10-FEET

 ミスター・スカイジャンボリーとの呼び声も高い10−FEETは、この日、出番で言えば一番最後のトリを飾るア−ティストだ。しかし彼らは午前中からすでに会場に姿を現し、TAKUMAはフードコートのコーラの売り場の手伝い、KOUICHIやNAOKIは他の出演バンドのライブを見守り、アーティストたちと話をしながら、イベントそのものをサポートする。
 「ここは地元にいるような気持ちなんですよね。完全に。コーラのとこで毎年恒例になっている手伝いもしてたんですけど、お客さんの声もその場で聞けるし、みんなライブを楽しみにしてくれてるし。自分でもステージに立つのが楽しみになりますね」とTAKUMAは笑顔を見せた。
 もはや稲佐山にこの曲が響くのも“夏の風物詩”となってきたドラゴンクエスト3『そして伝説へ』のオーケストラバージョンが流れ、観客はステージ前に集結。期待を胸に大きく手をあげるキッズのシルエットが見える。
 もちろん超満員となったモッシュエリアは挙げられた手が林のよう。「オラーーー!いくぞーーーっ!!置いていかれるなよーーー!!」とTAKUMAが叫ぶとKOICHIのカウントが入り、『goes on』が響く。いきなりライブはクライマックス。オーディエンスのテンションはMAXまで上昇!?しかしTAKUMAはその程度の熱気では許さないとばかりに声をあげた。「知ってるよ!お前ら、もっとイケるんやろ?声出るんやろ?」。その言葉に続いて重く歪んだベースラインから『super stomper』へ。広い会場に轟く熱いロックに、大合唱が重なる。
 MAXと思われたテンションはさらなる高みへと向かっていた。モッシュエリアでは滑走する観客たちも見え、もはや稲佐山で座ってる聴衆なんて1人もいなかった。後ろの後ろの後方の後方まで、みんなジャンプし、歌っていた。さらに『1sec.』ではモッシュエリアは飛び跳ねる人々の影が、まるで激しくうねる波のようだ。そこに浮かぶ10−FEETの姿。TAKUMAは何度も何度も「長崎!」と叫んだ。続いて新曲『シガードッグ』へ。昨年突然空へ旅立ったスカジャンの制作を統括していた有森氏のマネを交えながらの曲紹介。いつもタバコをくゆらせて、どこかシュナウザーのような雰囲気のある表情の有森氏を思わせる優しい1曲。「おい、お前。その新曲めちゃくちゃいいなぁ」と、TAKUMAのマネしたように言う様子が思い浮かぶ。そして『その向こうへ』では軽やかにステップを踏む観客が、彼らと共に熱唱。
 稲佐山に集う全ての人間が「その向こうへ」と想いをひとつにしていく。「飛べーーーーー!」とTAKUMAの声と跳ねる音に煽られて1万人が飛んだ『VIBES BY VIBES』でライブ本編が幕を閉じた。
 「まだまだパーティーしようぜ!」と言わんばかりのアンコールの声に応えて、再びステージに姿を現したメンバーは、歓喜の声をあげる稲佐山の観客の様子に会心の笑みを浮かべる。桜ではなく、タオルが舞った熱い熱い『CHERRY BLOSSOM』。「Oi!Oi!」と高らかに声をあげるオーディエンスは軽快にステップを踏み、最高の瞬間を味わう。そしてTAKUMAがKjを呼びこんで『RIVER』。この瞬間を待っていたとばかりに、観客も大きく跳ね、大きな声で歌いだす。強大な歌声が鳴り響く。誰もが歌っている。会場でこの日、汗を流した全ての人たちが歌う。もちろんステージの横に集結していたほかの出演者たちも。そしてこのイベントを作ってきたFM長崎のスタッフも。
 2011年8月26日という夏の日の、熱さを胸に刻みつける。きっとこの先、この日のことを思い出したなら。10−FEETの『RIVER』の景色は必ず蘇るはず。見つめる方向も、見える風景も、あげる声も。その全てを1万人で共有した瞬間、涙がこみあげるほどの感動を覚えた。ミスター・スカイジャンボリーの真骨頂を堪能した14回目の長崎スカイジャンボリー。
 観客はもちろん、出演アーティストにも愛されるこのフェス。音楽を愛する人たちの想いに胸が熱くなる。また来年もこの地で。素晴らしい音楽との出会いを体感したい。もちろんそこにミスター・スカイジャンボリーこと10ーFEETが、あの笑顔で立っていることを願う!

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