Dragon Ash

 昨年に引き続き2度目の登場となるDragon Ash。前回のステージでは機材のトラブルがあり、パワーを出しきれなかったことで「またぜひ出たいね」と話していたKjたち。今年、リベンジの機会を得て、彼らは最高で最強のパフォーマンスで稲佐山を圧倒することへ。スカイジャンボリーに集まったオーディエンスたちも期待感を上昇させている。まもなくDragon Ashの出番という時。ステージ裏では円陣を組むDragon Ashのメンバーたちが。「今回はリベンジということで、ブチかましてきましょう!」とKjの声に、メンバー全員が気合の声をあげ、ステージへと姿を消した。
 1曲目は『AMBITIOUS』。紡がれる怒涛のビートに、ATSUSHIとDRI−Vがダイナミックなダンスで立体的に楽曲の躍動感を見せつける。そうだ。去年はこの曲で機材にトラブルが起こって演奏が中断するというアクシデントがあったのだ。その1曲を「これが本来の『AMBITIOUS』だ」と言わんばかりに、最初の曲として稲佐山に刻む。2曲目はHIROKIとKjのギターがヘヴィに絡み合う『Bring It』だ。BOTSのスクラッチが疾風怒濤のビートと共にリズムを刻めば、ダンサーの2人のパフォーマンスもキレ味を増し、モッシュエリアでは次々にダイブしていく観客も。「飛び跳ねろ—!」のKjの声に会場のテンションは天井知らずに上昇していく。そしてKjが告げる。「新曲を聴いてくれ!」と。前へと向かう力強いメッセージが宿る1曲。魂を燃やすほどの情熱を内包しながらもハートを包み込む大きな存在感をも感じさせるこの曲に、会場からは大きなクラップが響き出し、楽曲に寄り添う。ふと今年、突然空へと旅立ったIKUZONEを感じたような気がした。
 空に近い稲佐山から、オーディエンスの熱は届いていたらいいな、と思う。そしてライブは『Walk with Dreams』へ。
 ミディアムながらSAKUの叩きだすドラムとKenKenのベースの音が鼓動のように温もりを持ったビートを響かせるこの曲は、夢を持ち、歩んでいくことを、飾らない言葉で、まっすぐに歌うからこそハートに刺さる。
 温かなクラップの音がその温もりにさらなる強い色を加えていくのが深く心に残った。そしてフェスのキラーチューン『For divers area』が鳴り響く。ラテンのパーカッションが刻むリズムとギターもベースもDJもリズミックに音を轟かせるライブキッズのための1曲で、ダンサーの2人のジャンプに負けないくらいにオーディエンスも飛び跳ねていた。
 「いいバンドもいっぱい出てるし、いい曲もいっぱい聴けると思うんですけど、僕らはミクスチャーロックっていって男の子が憧れる激しいロックやってるんで、後ろでゆっくり見てる人もモッシュピットで待ってるぞ!」とKjが告げて『FANTASISTA』のイントロへ。その音に背を押されるように次々に観客がモッシュエリアへ駆けこむ。そこら中で沢山の輪が出来て、さらに前方では続々ダイブが繰り広げられ、ライブは最高潮。
 そして最後にKjはこう言った。「これがミクスチャーロックです。名前だけでも覚えて帰ってください」。ミクスチャーロックの真髄は、確かに稲佐山に刻まれたのだった。

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BRAHMAN

 夕焼け空に夜の足音が近づいている感がある稲佐山。ステージの上には月が浮かんでいるのが見える。綺麗に半分の形をした、白く輝く月。まるで今宵のスカイジャンボリーを見つめるように穏やかな光を湛えていた。
 SEが響き、BRAHMANのステージの始まりを告げる。1曲目は『鼎の問』。多くの真実を知らない人たちへと問いを投げかけたことでも知られるこの曲は、静かながらも息づく怒りと憤りと哀しみと、そして想いを宿す。ステージに向かって突きあげられた拳の数々が、彼らからのメッセージを確かに受け止めているよ、という応えであると感じる。
 風が静かに吹き込み、祈りが歌に重なっていくのを感じた。妖艶な旋律でイントロが鳴りだした『THE ONLY WAY』。ステージから溢れだす音が、楽曲の中でめまぐるしく展開していく感情のままに渦を巻き、その音に煽られるようにモッシュエリアでは観客が次々にダイブしていく。楽曲が宿す感情を受け取り、そこで刺激され、感じたものをオーディエンスの1人1人も“表現”している。モッシュで、ダイブで、共に熱唱することで、じっと聴き入ることでも。続く『SEE OFF』ではステージの4人はもちろん、1万人の観客たちも「ここ(稲佐山)に全てを置いていく」という気迫を感じさせる熱を放つ。渾身に応えるのは渾身。ステージと客席の双方が全身全霊で音楽を奏で、音楽に躍った。続くのは『BEYOND THE MOUNTAIN』だ。轟くギターの音、そしてドラムとベースのビートが、オーディエンスに激情の火をつける。楽曲が灯した火は、共に叫び、歌っていく中で、明日の自分を鼓舞するほどの滾る感情という炎になっていた。
 「こぼれおちるように…」とTOSHI-LOWが口を開き、『露命』が響く。露のようにこぼれおちる命。しかし人間の想いや絆や生命力を改めて感じさせる1曲。歌詞の言葉のひとつひとつを受け取るように挙げられた腕。会場に刻まれていく祈り。鋭い音は攻撃力の高いサウンドとなり、加速をつけてオーディエンスにメッセージを撃ちこんでいく。
 イントロから「Oi!Oi!」のコール。そして歌が始まれば、1万人の歌声が重なったのは『ANSWER FOR…』だ。声の限りを出して、歌へ気持ちを寄り添わせているオーディエンスの頭上には、ライブ開始時に穏やかに輝いていた月が煌々と光を放っている。夜に包まれた稲佐山に、祈りの声が大合唱と共に轟く。
 「10年くらい前から長崎の悪党みたいな連中が出ろ出ろって言ってたんだけど、思うところがあって断っていて、11年経ってでて思ったのは……やっぱり……何で早くやらなかったんだろうって。むっちゃいいイベントじゃねーか」とTOSHI-LOWの言葉に歓迎と歓喜の大歓声で観客は応える。そして語り始めた彼の言葉を、静寂と共に聴き入る聴衆。
 「地震は人が死ぬ。放射能は人を殺す」。その言葉が長崎という地に集まった人々に刻まれていった。観客の上で、観客に支えられて立ち、オーディエンスの近くまでいき、語りかけるように歌われる『霹靂』。その深い想いに会場の想いが重なった。ラストは『賽の河原』。地響きのように響き渡るビートと熱情の歌に会場が揺れる。声をあげ、拳をあげ、生を叫んだBRAHMANのライブだった。

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