ストレイテナー

 「九州でここまでロック寄りなフェスってほかにはないし、それを長崎が担っているっていうのは誇りに思うよ」とホリエは言う。「それに今年は最強のメンツだしね」と。地元だからこそ感じるもの。地元に来てくれた仲間のバンドへ。後輩バンドへ。先輩バンドへ。
 そんな想いの全てを放出したかのようなステージは、長崎の熱さを伝える瞬間でもあった。
 そんなストレイテナーの、3年ぶりのスカジャンのステージに最初に鳴り響いたのは『VANISH』!2本のギターの旋律が重なり、鮮やかな音の活動を生む。イントロから稲佐山を席巻するストレイテナーの情感豊かなロックチューンに、オーディエンスが一斉に跳ねる。ステージの前にはどんどん観客が集結する中、放たれる音がプリズムのように自在に反射し、節が進むたびに光が角度を変えるように印象を変えていく。ミディアムかつ重厚なロックに地鳴りのように応えるスカイジャンボリーを覆う空気を感じる。ナカヤマが長崎弁で声をあげると、地元は大きな熱気で迎えていく。想いの交歓というのはこういう景色を言うんだなぁ、と感じた。続いて『BERSERKER TUNE』。日向のベースがキレキレのソロで聴かせ、轟く攻めの音に会場は一気にヒートアップ。もはや砂塵が凄まじく、ステージ上のメンバーが霞の向こうにいるかのように見えていた。これこそ、どれだけオーディエンスが盛り上がっているかの証。稲佐山のライブだけの風景。
 「地元長崎のみんなに、この夏最高のバラードば聴かせてやるけん」とホリエが告げ、晴れ渡った空へと優しい歌声が流れ出す。風がすっとオーディエンスの頬を撫でるように吹き抜けた。稲佐山が、長崎の空が、一緒に歌ってるのかもしれない。そんなことを思う。
 この日、スカジャンに集まった、憧れのバンドや同世代で戦ってきた仲間たち、かっこいいロック魂を持った後輩たちへ。「(長崎に)来てくれて、ありがとうって言いたい気持ちです」というホリエ。それは会場を埋め尽くす1万人が同じ気持ちだ。ここからストレイテナー怒涛の終盤へ。『Melodic Storm』で、会場の空や森や山肌や、遠くに見える海や街の色のように鮮やかな色彩感に満ちたロックンロールが響くと、観客は「Oi!Oi!」と声のハモニクスでさらに楽曲を色づけていく。メンバーも笑顔になって、演奏も熱を帯びる。続く『TRAIN』では稲佐山が振動するのを感じた。叩きつけるドラムの音に煽られ、ベースの音に躍らされ、ギターの音に押し出されるように。モッシュエリアは大きな輪が出来て、見知らぬ同士でも同じ場所で気持ちを共有する仲間になって、グルグルと駆け廻っている。ライブで繋がる人と人。音が繋げる想いと想い。ストレイテナーと共に長く旅をしているこの曲が繋いだものだ。ラストは『羊の群れは丘を登る』。2本のギターが絡み合い生まれる旋律が心の琴線に触れる珠玉のロックチューン。
 疾走するサウンドの、最後の一音まで味わおう。そんな気持ちが最初から最後まで溢れるストレイテナーのライブだった!

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怒髪天

 この日、スカイジャンボリーには増子アニキの名言がこだましていた。
 「夏フェスで大事な3つのこと!まず水分、塩分、そして兄貴分じゃーーーっ!!ちゃんと補給して帰れやーーーーーーっ!!!!!!!!」
 そんな怒髪天のライブは彼らの登場を告げるSE「男祭り」から夏の祭りのスタートだ。ステージ前は、アニキの登場を待ち望む観客が押し寄せる。そこに力強いカッティングが響き『アストロ球団応援歌』が始まった。「男なら、男なら〜♪」と増子が叫ぶと、オーディエンスはグッと握った拳を突きあげて応える。稲佐山に鳴り響く魂の叫び。不死鳥となって飛ぶのに、これほど適したシチュエーションはないなというほどの空に声が昇っていった。グルグルとモッシュエリアで走り回るファンが増子アニキと共に歌声をあげたのは2曲目の『労働CALLING』。今、この瞬間を謳歌するように、熱い反応にステージの音もどんどん熱を帯びていく。この歌のようにまた明日から労働や勤勉の日々に向かう観客のパワーとなるだ。
 続く『ビール・オア・ダイ』では会場後方のフードエリアのビール売り場に大行列発生!これだけ暑い日だもの。ビールと共に音楽を楽しみたくなるってものだ。まさに「この一杯のビールのために生きていると思えるほど」の灼熱の太陽と最高の音楽。ステージから煽られるようにオーディエンスはみんな手にビールを持ち、共に叫んでいる。軽やかなギターのリフに合わせて右へ左へ。ビールジョッキを握るように形作られた拳が振られる「この一杯のビールのために生きていると思えるほどさ」と。
 「スカイジャンボリーーーー!!やっと呼ばれたーーーー!!」と歌い終えた増子が声をあげる。稲佐山初登場の怒髪天だが、さすがのパフォーマンス力と歌ゴコロで会場のハートをガッチリ掴んで、ひとつにしていた。そんな言葉に続いたのは、この日のお天気にぴったりな、爽快ロックンロール『歩きつづけるかぎり』だ。彼らが歩いてきた道の中での様々な出会いが凝縮されたこの曲。きっとこれから先、歌われるときにはこの稲佐山で出会ったオーディエンスとの記憶も刻まれているはず。一緒に歌う観客の声を聴きながらそう感じた。
 「おし!オレたちの夏ーーー!!」の雄叫びから掻き鳴らされたのは榊原郁恵の名曲『夏のお嬢さん』のカバー。男気で聴くポップチューンの骨太ロックVerに会場はヒートアップ!さらに『押忍讃歌』ではみんな一斉に大きく手を挙げて、闘う男の人生の歌を堪能している。軽快なビートでステップを踏みながら踊っている観客の表情は本当に楽しんでいる顔だ。そして最後は『酒燃料爆進曲』へ。怒涛のロックン演歌!日本人だからこその、血として流れるビート感で歌われ、高らかに響くメッセージにいつしか稲佐山は「Oi!Oi!」の大合唱。
 フェスを楽しむ三大要素・水分、塩分、兄貴分をしっかり補給させるステージに客席はもちろん、ステージ裏のスタッフからも大きな大きな拍手が湧く。
 怒髪天のR&E(ロック&演歌)の魂が、稲佐山に刻まれた時間だった!

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