MAN WITH A MISSION

 本番前の転換の時間。リハーサルで音を出している時から大歓声と巻き起こる砂煙というオーディエンスの熱狂に迎えられたのはSky Jamboree初登場となるオオカミたち――MAN WITH A MISSIONだ。
 観客と稲佐山の自然のコラボレーションによって生まれる天然スモークの奥にシルエットのように登場したオオカミたちの咆哮のライブは『distance』からスタート。
 ダンスフロアと化した稲佐山の砂煙は空へと昇っていく中、まさに老若男女がグルーヴのるつぼへと誘われていく。足は大地を離れ、ビートによって体は高く高く跳ねあげられていく。続く『FROM YOUTH TO DEATH』では伸びやかな歌声に引き寄せられるように、斜面から次々にオーディエンスがステージ前方へと駆け下りてくる。さらに山の上で見ている観客も、高く手を挙げ、ステップを踏んでいる。いつしか彼らの音は稲佐山全体を席巻していっていた。
 「稲佐山ニオ集マリ頂キマシタ人間ノミナサン、元気デスカーーー?」とオオカミの吼え声に「ウォーーーっ!」と人間だって負けじと吼える。吠え声の応酬。なんと彼らは長崎でラジオなどに出演するたびに「スカジャン、スカジャン」と言い続けていたそうで。ようやく念願叶って、この稲佐山のステージに立てたのだ、と言う。オオカミにだってその名を知られたフェスなのだ!
 スマッシュヒットした『Get Off of My Way』のイントロではモッシュエリアは大混雑!踊る人、跳ねる人、モッシュする人。大人も子供も踊りに踊る!世代なんて関係ない。気持ちのいいグルーヴは、人間を笑顔にして、躍動させ、これだけ多くの人が集まっているのに、その心をひとつにさせるということを改めて感じさせる。4曲目は『Smells Like Teen Spirit』。ニルヴァーナの名曲のカバーではこれまた砂煙が。ボーカルのトーキョー・タナカとギターボーカルのジャン・ケン・ジョニーの声の重なりの圧倒的なパワー感とギザギザとエッジの効いたDJサンタモニカのスクラッチ、そしてカミカゼ・ボーイのベースとスペア・リブのドラムが叩きだすアグレッシヴなビートが、オーディエンスの反応に煽られるようにさらに熱を増す。
 「マタココニ帰ッテ来タイッテコトデ、コノ歌ヲ歌イマス。ミナサン一緒ニ歌ッテクレマスカ?」というオオカミの言葉で『TAKE ME HOME』では大合唱。故郷へ想いを馳せる爽快感とアットホームな雰囲気のあるアッパーチューンが広がっていく。ラストは『FLY AGAIN』。音が洪水のように溢れだし、グルーヴの渦が会場全体を巻き込んでいく。みんな、手を広げ、空へ挙げる。
 本当に飛んでるんじゃないかというくらいの高揚感。最後の最後にはオーディエンスと共に大きく遠吠えをして、オオカミたちと稲佐山のファーストインパクトは幕を閉じた。是非マタココニ帰ッテ来テ下サイ!!

photo

photo

photo

photo

photo

top ページのTOPへ
SPECIAL OTHERS

 午前中からギラギラと輝く日差しに焼かれる先ほどまでの感覚から一変。穏やかな夏の午後へと誘うような心地よいグルーヴの中へと引き込まれてしまう。まるで音の海を泳ぐような心地よさは彼らの音楽ならでは。SPECIAL OTHERSのステージは『ROOT』からスタートした。ドラムの宮原“Toyin”良太も、ベースの又吉“Segun”優也も、ギターの柳下“Dayo”武史も、キーボードの芹沢“Remi”優真も。4人共に演奏しながらも夏ならではの長崎の空気や稲佐山の色彩感を楽しみながら音を鳴らしているような、そんな印象を覚える。山肌を涼しい風が吹き抜ける。夏の爽やかさが生み出されるグルーヴと相俟って、体を揺らすオーディエンスも“夏のひととき”を楽しんでいる様子だ。その揺れていた人波がいつしかピョンピョンと跳ねるようになっていく。音が躍動し始めたのだ。まるで観客の熱を扇動する指揮者のように、音で会場を自在に動かすスペアザのメンバーたち。そのまま楽曲は2曲目の『AIMS』へ。
 ライブでもお馴染みの軽快な1曲に歓声が湧きあがり、オーディエンスは空へ向けて手を挙げて、本当に気持ち良さそうに体をビートに預ける。山の上の方からふわりふわりと降りてきたシャボン玉もライブの演出のよう。この曲の煌めきをより鮮やかなものにしていく。響き渡るのは数千人の手によるクラップの音と彼らの紡ぐ音。稲佐山に響く音楽がピースな空気を作っていくと、会場は笑顔でいっぱいに。その笑顔いっぱいの稲佐山を見渡して、メンバーも微笑んでいた。
 「SPECIAL OTHERSです。長崎に来るのは多分3度目なんです。だから今日は来られて嬉しいです」と宮原。長崎の緑はすごく綺麗なのだ、とか。青い空とくっきりと色づく緑が夏の輝きと共に眩しいこの景色が好きだ、と話す。さらに「しっかり仕込んできた!!」とメンバーも自信の長崎弁を使ってのトークでも会場を沸かせた。そして真上に浮かぶ夏空に負けないカラフルな音で聴かせる『PB』へ。軽やかに駆ける音の粒子、そのものがキラキラと発色しているように響いていく。どんどん音に魅入られていくオーディエンスたち。じっとしてなんていられない。ドラムの音もベースの音もギターの音もキーボードの音も。ひとつひとつが歌っている。そして観客のステップの音も鼓動も。今ここに在る音の全てで歌を奏でているような感覚こそ、音楽の幸福感!ラストは『Wait for The Sun』。燦々と降り注ぐ長崎の太陽の光の下で、存分に奏でられる太陽の旋律。手をあげて、太陽と音とを堪能する観客。優しくも熱い時間は本当にあっという間に過ぎてしまった。そんなスペアザのステージだった。
 「風も気持ち良くて、景色も良くて、光の感じもすごくいいんですよね。長崎の色彩のパキっとした感じを気持ち良く感じながらライブが出来ました」と宮原。長崎の色彩と彼らの音の色鮮やかなコラボは稲佐山に新たな色をつけたのだった。

photo

photo

photo

photo

photo

photo

photo

top ページのTOPへ